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【50代からの認知症講座・番外編】認知症の方にかかわる時は、言葉より自分の表情や態度に気をつけよう!

こんにちは。私は現在、現役のケアマネージャーとして日々自宅で生活している高齢者の方々の相談を受けて、介護サービスなどの調整をするお手伝いをさせていただいております。

今回は番外編と題しまして、自分がケアマネージャーになる前、介護専門学校の学生時代の実習時のエピソードや新人の介護スタッフとして働いた時に体験した認知症の方へのかかわり方について書いてみようと思います。今日ご紹介すること以外でも実に様々なことがございましたが、今、真っ先に思いついた2つの出来事を取り上げたいと思います。

まず、早速結論ですが、これらの体験で自分が肌身で感じて学べたことは、

認知症の方にかかわる時は、言葉より自分の表情や態度に気をつけよう!

ということです。

なぜなら、(程度の差はあるけど)認知症の方は言葉の内容より、ケアをする相手の表情や態度に敏感に反応するからです。

 

しかしながら、最初にお断りしておきたいことは、今日ご紹介する体験は決して参考にはしないでください。ただそうした失敗を通じて私は上記のことが痛いほどわかりました。介護の現場では学校で習ったことや自分が本で学んだことの何倍や何十倍もの難しい対応をその場でしなければならないことに、日々遭遇していたのでホント鍛えられました。当時は毎日ひたすら必死にこなしていただけでしたが、それが今となっては介護のことを考える上での大きな血肉の一部となっております(^^;)

 

1、女性のトイレ介助をしようとしたら、痴漢と間違えられてしまった!

私は10年ほど前の40歳の時に介護未経験、無資格のまま、とあるデイサービスに介護職員として配属されました。人の世話をする経験すらほとんどなかった私は何も分からないまま、配属先の施設のコワ~イ看護師だった上司からの厳しい指導を受けて、毎日半べそをかきそうになりながらも必死に耐えて仕事をしておりました。

仕事を初めて10日くらい経ったある日、私はその上司に命令され、ある方のトイレ介助を頼まれました。その方とお会いしたのはその日が3回目くらいだったと思います。その方についてはお名前と認知症があること以外は教えてもらえず、年の頃は70歳前後の方のように見受けられました。「あの人、認知症だからやさしく声かけてさりげなくそっとズボンを下ろすのよ!」とだけアドバイスされて、一緒に後ろからさりげなくついていきました(今考えるとこの時点ですでにダメですね)。トイレに入ると私は「◯◯さん、しゃがみましょうか」とソフトな感じてお声かけしたのに「あなた、誰、なんでここにいるの?」と大きく目を見開き、ビックリした表情をして私を見つめ返しました。私もちょっと動揺しながらも「便座に座るので、ズボンを下げますから」と伝えるも「何するのよ、こっち来ないで!」と拒否をされ、私が両手を肩幅くらいに広げ待ち構えると余計に警戒し「いいから、やめて」と顔をこわばらせながら、トイレの隅へ後ずさりしました。その動きに合わせて私も近づくと、さながらトイレ内で鬼ごっこ状態になりました。ほどなく「やめて~!」とかなり大きな声を出したので、慌てて他のスタッフがトイレに駆け込んで来ました。「どいて!」と小声で耳打ちされると、私はトイレの外に急いで出ました。その時の無力感たるや…。

私はかなりショックを受け、数日後、そこの施設長に辞表を提出しました。今思えば、その時私は満面の笑顔で対応していると思っていましたが、おそらく物凄くこわばった笑顔で、私自身の焦りや不安の気持ちまで私の表情や態度で感じてしまっていたのだと思います。そりゃ、そうでしょうね。相手の方にとっては見ず知らずの男性がこわばった表情で自分に近づいてくるんですから…。しかし、その経験のおかげでそれ以来そういった場面でも拒否されることはなくなりました。

 

2、日々痩せていく方に、なんとか食べていただこうと思い、つい…。

その後、介護の専門学校に入り実習生として特養ホームで認知症の方の食事介助をしていた時のこと。80歳くらいの女性のその方は普段からあまり食事を召し上がらず、スタッフの食事介助でも、毎食出された分の1割程度しか召し上がりませんでした。私が実習をしていた当時はさらに「食欲がないのよ。食べたくない!」と拒否する日が増え、見る見る間に痩せていったとのことでした。たまに息子さんが差し入れした昆布の佃煮などは食べていましたので、施設で提供する食事も「息子さんがわざわざ差し入れてくれたんですよ」とスタッフがお声かけして食べさせていましたが、そういう手も毎回そうそう通用するものではありませんでした。

そんなある日、実習の指導者の方が「◯◯さんの食事介助をやってみて下さい」といきなり私を指名してきたのです。私は内心ドキドキしていたものの、事前に◯◯さんの食事介助のアプローチは考えてはいましたので落ち着いて堂々と行おうと心がけました。しかし、「美味しそうですね~」「息子さんが持ってきたんですって!いい息子さんですね」「食べないと元気が出ませんよ」等々、声かけや身振り手振り一通り試みましたが「そうなの~」とカラ返事ばっかりで一向に食事をする気配はありません。どうしよ~と私は焦りましたが、開き直り「本人が楽しく食べるには自分も楽しまなきゃ」と気分を入れ替えて、「◯◯さん、これはですね、遥か遠~い遠~い海を乗り越えて、どんぶらこどんぶらこと流れてきたさかなクンです。わざわざ◯◯さんに会いに来ました。そのさかなクンがおいしそうに目の前を泳いで~~」と次の瞬間、私はその方のタイミングに合わせて一緒に大きな口を開けて、その魚を◯◯さんの口の中に入れました。パクっとその方が食らいつくとモグモグしてごっくんと飲み込み、一言、「おいしいわね!」と満面の笑みを湛えて応えました。私は調子に乗って、さらに2口、3口と◯◯さんの口に魚を運びました。その他、ご飯は「遠い遠い田舎の田んぼから~」野菜や漬物類は「遠い遠い山の奥から~」とバリエーションを即興で考えて伝えました。そうしたら、いつもの三分の二の時間で6割くらい食べることができました。指導者の方もこれには「もう、そんなに食べたんすか?」と驚いておりました。どういう風に食事介助をしたのか指導者の方に尋ねられましたが、冷静に考えてふざけているようにも思えたので(当時は真面目な?学生を演じないと実習に落とされるかもと考えていたので)「なんとかできました」と答えにならない答えを言ったかと思いますが、夢中でしたのでよく覚えていません。

でも、今にしてみれば、その方は私が楽しんでやっているのに付き合ってくれただけかもしれませんね。施設のスタッフの方も忙しいせいか、普段からこの方がいろんな訴えをしても、あまり関わることもできなかったようで、食事介助もじっくりできていなかったのではないかと思いました。認知症ながらも、たまに冗談を言ってくるようなチャキチャキの江戸っ子のようでしたので、「この方ならこの方法で一緒に楽しんでくれるのではないか」と思い実行してみました。認知症の方への対応でたまにこういった行き当たりばったりのようなことがうまくいくこともありました。でも、大概は相手の方々の方が一枚も二枚も上手でしたから、認知症ケアというか人間同士の交わりは奥が深いなと今さらながら思います。

 その他にも新人の時、何も分からずにレビー小体型認知症でパーキンソン症状がある方に「△△さん、そんなふてくされた顔ばっかりしていたら、幸せになれませんよ。少しは笑って下さいよ!」と今にしてみればトンデモナイことを言っていたこともありましたが(なんとその後、その方は必死にリフトアップしてガンバって笑って下さったのです。後で考えたら自分の非礼さや不勉強、そしてその方の寛容さに涙が出て止まりませんでしたが)そういった体験は全く自慢も感心もできませんが、枚挙に暇がありません。こういう方々がいたおかげで、今の私があります。ありがたいかぎりです。

 

当然のことながら、認知症の方にどういった言葉をかけたらいいか考えるのは重要だと思いますが、やはり、それ以上にまず自分がどういう表情をして、どういう態度でその人に接しているかその点にこそ気を配るべきだと私は思います。言葉をはじめ色々なことが分からなくなって困っているのは認知症の当事者の方ご本人です。その方が色々なことが分からなくなった、出来なくなったという事実を受け止め、少しでも安心して穏やかに過ごせるように皆で協力することが、私たち、ひいては社会全体にとっても共通の利益につながると私は思います。それを微力ながらサポートしていくのが自分の役目と考えております。

 

-まとめ-

 

認知症の方にかかわる時は、言葉より自分の表情や態度に気をつけよう!

 

なぜなら、(程度の差はあるけど)認知症の方は言葉の内容より、ケアをする相手の表情や態度に敏感に反応するからです。

 

 

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今日は自分の体験談を元に認知症の方へのかかわり方をお伝えしました。 

また、次回までごきげんよう!